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朝倉通信 13 花火
足利の花火は、昔から有名です。
打ち上げ花火や、仕掛け花火など、空が煙でもうもうするほど、間を置かずに次から次へと打ちあげられます。 街中は車両通行止めとなり、みんな歩いて渡良瀬の土堤をめざします。
土堤の上には、桟敷がつくられ、土堤の斜面は花火見物の人で、あかるいうちからいっぱいになります。 やがて、暗くなって花火があがり始まると、花火が炸裂するたびに、そのあかりで、土堤の人の頭が、スイカが並んだように見えました。
中橋の近くの川原が、打ち上げの場所だったので、橋に近づくと、腹の底に響くような地鳴りとともに、ごう音がとどろき、肩や頭に、花火の燃えかすが降りかかります。
こげくさくて、まだ、火がついているのではないかと、急いで払います。
臨場感、万点です。 橋の上では、お巡りさんが「歩いてください! 立ち止まらないでください!」と、大声で叫んでいます。 ほんとうに、橋が落ちはしないかと、本気で心配するほど、沢山の人が橋の上に集まっています。
打ち上げの場所が、あまり近すぎて危険だというので、このごろは、もっと東の、岩井山のほうに、打ち上げ場所を移してしまったので、花火が、遠くなってしまいました。
頭上の、空いっぱいにひろがる花火も素晴らしいけれど、はるか、かなたから聞こえる遠花火も、夏の風物詩のひとつで、いいものです。
年に一度の浴衣も、半分着崩れて、履きなれない下駄の緒ずれを気にしながらの帰り道、どこかの町の遠花火を聞くと、今年の花火の終わりを感じて、ちょっと淋しくなりました。
この頃の花火は、とても鮮やかに美しくなりましたね。 色も昔より濃くて、色や、咲く花の種類も豊富になりました。 でも、どんな色やかたちであっても、花火のない夏なんて、考えられません。
花火の夜が近づくと、なんだかそわそわして来るし、この時期に多い夕立がきて、花火が中止になりませんように、と、いつも思うのです。
1999・6・30
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