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昭和46年頃の冬

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最終回

 

 

   

朝倉通信 15 大通り

  足利は、夏になると、毎日どこかでお祭りをやっている、といわれました。 通りの一丁目から、順に、緑町まで、八雲神社があって、順番にお祭りをしていました。
てんのさま、といったほうが、わかりやすいようです。 てんのさまとは、祇園精舎を守護する、牛頭天王のことを言うそうですが、そういえば、このお祭りのことを、お祇園と言うこともありました。


 一本足の足駄をはいた天狗さまが先に立ち、ドーンドーンと打ち鳴らす大太鼓や、手児舞姿の芸者衆が、じゃらん、じゃらんと金棒をにぎやかに響かせ、かわいいお稚児さん、正装した神主さん、威勢のいい若衆のもむお神輿は、駅前の広場にはいったら、一時間は出てきません。道の両側の家には、桶や、樽に水がいっぱい用意してあり、勢い立った神輿に、バケツで水をあびせかけます。 

 大通りは、伊勢町から、七丁目まで見とおせる広い一本道です。 道の両側には、細いけれど、川が流れ、石の蓋のすきまから、魚が泳ぐ姿もみられたそうです。


 七月七日の七夕には、色紙や、短冊で美しく飾りつけられた、孟宗竹のたなばたかざりが、大通りの両側の家や、商店からさしだされ、通りは、笹飾りのトンネルのようであった、といいます。
 娘や、織姫達が、裁縫が上手になるように、織りの手があがるように、という願いをこめた笹飾りは、翌朝早く、渡良瀬川に流されます.川の水で顔を洗って、眠気を流す、というので、"ねぶた流しに行く"といったそうです。
 交通の邪魔になる、とか、川をよごすとかいうので、今は、お祭りの行列も、七夕まつりも、やらなくなってしまいました。


 人々が、行き交った通りも、車だけがはしり、お客で賑わった店も、次々にシャッターをおろし、昔の繁盛を知る人にとっては、織物の衰退とともに、なんとも、さびしいことになってしまいました。

1999・7・7

     
   
 
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